開業・起業時のプリンター選び|事務所・店舗・営業所に最適な導入方法とコスト比較
開業時にプリンターは必要か
ペーパーレス時代でもプリンターが要る場面
「ペーパーレスの時代にプリンターは不要では?」と考える起業家は少なくありません。実際、契約書の電子署名、請求書のクラウド発行、経費精算のアプリ化など、紙を使わない業務フローは確実に広がっています。
しかし、開業直後には以下のような「紙が必要な場面」が意外に多く発生します。
- 官公庁への届出書類:法人設立届、税務署への届出、社会保険の手続きなど、一部はまだ紙での提出が求められる
- 契約書・見積書:取引先が電子契約に対応していない場合、紙の書面が必要
- 営業資料・提案書:訪問営業やプレゼンの場では紙の資料が信頼感を高めることがある
- 店舗の掲示物・POP:飲食店や小売店では、メニュー・価格表・案内を日常的に印刷する
- 社内文書:就業規則、マニュアル、会議資料など
「今はなくても、1〜2か月で必要になった」という声は起業経験者から頻繁に聞かれます。完全にプリンター不要と言い切れるのは、1人で完結するフリーランスのうち、取引先がすべてデジタル対応している場合に限られます。
事務所・店舗・営業所で求められるスペック
業種と拠点の形態によって、必要なプリンターのスペックは大きく異なります。
- 小規模事務所(士業・コンサル・IT):A4モノクロ中心、月500枚以下。コンパクトなレーザーまたはインクジェットで十分。
- 営業所(不動産・保険・建設):カラー印刷とA3対応が必要なケースが多い。間取り図や提案書をカラーで出力する頻度が高い。
- 店舗(飲食・小売・美容):POP・チラシの印刷にカラーが必要。印刷頻度は低いが見栄えが重要。
- 設計事務所・デザイン事務所:A3対応が必須。印刷品質(解像度・色再現性)も重視される。
4つの導入方法を比較する
1. 購入──一括払いで自社資産にする
家電量販店やオンラインショップでプリンターを購入する方法です。
コスト目安:A4インクジェット複合機で10,000〜30,000円、A4レーザー複合機で30,000〜80,000円、A3対応レーザー複合機で100,000〜300,000円。
メリット:
- 一度買えば月額の支払いが不要(消耗品代を除く)
- 機種の選択肢が最も広い
- 固定資産として減価償却できる(10万円以上の場合)
デメリット:
- 初期費用が大きい(開業資金を圧迫する)
- インク・トナー代が継続的にかかる(年間1〜5万円程度)
- 故障時の修理費は自費
- 不要になった場合の処分に手間がかかる
2. リース──長期契約で月額払い
リース会社を通じてプリンターや複合機を借りる方法です。
コスト目安:A3複合機のリースで月額15,000〜40,000円(5〜7年契約)+カウンター保守料金。
メリット:
- 最新の業務用複合機を月額で利用できる
- メーカー保守(訪問修理)が受けられる
デメリット:
- 与信審査が必要(設立直後の企業は通りにくい)
- 5〜7年の長期縛り、途中解約は残額一括支払い
- 事業が軌道に乗るか分からない段階での長期契約はリスクが高い
開業直後の企業にとって、リースの審査のハードルと長期縛りは大きなネックです。「事業が安定してからリースを検討する」という判断が現実的です。
3. レンタル──短期・柔軟・審査不要
レンタルサービスからプリンターや複合機を借りる方法です。
コスト目安:定額制で月額5,000〜25,000円(トナー・保守込み)。カウンター保守型の複合機は月額5,000円〜+枚数課金。
メリット:
- 初期費用がほぼゼロ(搬入費が無料のサービスもある)
- 審査不要で即日〜数日で導入可能
- 月単位の契約で、事業が変わったら解約・変更が容易
- トナーや保守が月額に含まれる定額制サービスなら、ランニングコストの予測が立てやすい
デメリット:
- 1年以上使い続けると購入より割高になるケースがある
- 機種の選択肢は購入やリースより限られる
- 大型の業務用複合機はカウンター保守型に限定される
開業直後は「いつまで使うか分からない」「事業の方向性が固まっていない」という状態が普通です。レンタルはこの不確実性にフィットする導入方法です。
4. コンビニ・印刷ショップ──必要な時だけ外注
コンビニのマルチコピー機や、キンコーズなどの印刷ショップを使う方法です。
コスト目安:モノクロ10〜20円/枚、カラー50〜80円/枚。
メリット:固定費ゼロ。初期投資不要。印刷量がごく少ない場合は最もコスト効率が良い。
デメリット:1枚あたりのコストが高い。移動の手間がかかる。機密文書の印刷には向かない。月100枚以上印刷するなら割高。
事業規模別のおすすめ導入方法
1人〜3人の小規模オフィス・フリーランス
月間印刷枚数が200枚以下であれば、コンビニ印刷で足りる可能性があります。200枚を超え始めたら、定額制レンタルの最安プラン(月額5,000円〜)が合理的です。
この規模で購入を選ぶ場合は、本体1万円台のインクジェット複合機が現実的ですが、インク代が年間1〜3万円かかることを忘れないでください。「インク代込み」の定額レンタルと年間コストで比較することをおすすめします。
5人〜15人のスタートアップ・小規模法人
印刷需要が増え始める段階です。月間500〜2,000枚の印刷が見込まれる場合、定額制レンタル(月額8,000〜15,000円)が最もバランスが良い選択肢です。
この規模でリースは避けた方が無難です。設立1〜2年の企業はリース審査のハードルが高く、仮に通ったとしても5年の長期縛りは事業の柔軟性を損ないます。レンタルであれば、事業の成長に合わせて機種やプランを変更できます。
15人〜50人の成長期の中小企業
月間3,000枚以上の印刷が必要になる規模です。A3対応の複合機(コピー機)が求められるケースも増えてきます。
選択肢は以下のとおりです。
- 定額制レンタル(A3対応):月額15,000〜25,000円。FAXやフィニッシャーが不要であればこれで十分。
- カウンター保守型レンタル:業務用複合機が必要な場合。搬入設置込みで、リースに近い使い勝手でありながら契約の柔軟性が高い。
- リース:事業が安定し、5年以上の利用が見込める段階であれば選択肢に入る。
「まずレンタルで始めて、事業が安定したらリースに移行する」というステップを踏む企業も少なくありません。
開業時にプリンターを導入する際の実務ポイント
開業届の前でもレンタルは契約できるか
レンタルサービスの多くは、法人格がなくても個人事業主として契約可能です。ウルトラプリントやRentioは個人でも契約でき、法人登記前の準備段階でも導入できます。スリホやエコプリなどの法人限定サービスは、法人登記完了後の契約になります。
経費処理の方法
レンタル料金は「賃借料」または「リース料」の勘定科目で全額をその月の経費として処理できます。購入の場合は10万円以上で減価償却の対象になるため、経費計上のタイミングが分かれます。開業初年度はキャッシュフローを重視する段階のため、全額即時経費になるレンタルは会計上もシンプルです。
通信環境の確認
プリンターの多くはWi-FiまたはLANケーブルで接続します。開業直後はオフィスのネットワーク環境が整っていない場合があるため、プリンターの導入前にインターネット回線とWi-Fiルーターの準備を確認してください。複合機の場合はFAX用の電話回線が必要なケースもあります。
レンタルプリンターの各サービスの詳しい比較はレンタルプリンター総合ガイドで、コストの計算方法は費用・価格の徹底比較で解説しています。