プリンターはリースとレンタルどっちがお得?|5年間の総コストで比較
リースとレンタルの基本的な違い
契約形態と所有権の違い
リースとレンタルは、どちらも「機器を借りて使う」という点では共通していますが、契約形態が根本的に異なります。
リース契約は、リース会社がメーカーからプリンターを購入し、それを企業に貸し出す仕組みです。契約期間中の所有権はリース会社にあり、契約満了後に「再リース(低額で延長)」「返却」「買い取り」のいずれかを選ぶのが一般的です。会計上はオペレーティングリースまたはファイナンスリースとして処理され、新リース会計基準(IFRS16/ASC842に対応した日本の改正基準)の適用企業ではオンバランス処理が必要になるケースもあります。
レンタル契約は、レンタル会社が所有する機器を、月単位や年単位で貸し出す仕組みです。契約期間が柔軟で、解約時は返却して終了するのが基本です。レンタル料は全額をその月の経費として処理できるため、財務処理がシンプルです。
公益社団法人リース事業協会の資料によれば、リース契約はOA機器分野で広く利用されてきましたが、近年はレンタルやサブスクリプション型の契約への移行が見られると報告されています。
契約期間と途中解約のルール
リースとレンタルの最も大きな違いは、契約の拘束力です。
リースは原則として途中解約ができません。一般的な複合機リースの契約期間は5〜7年で、途中解約する場合はリース残額の一括支払いが求められます。たとえば月額リース料30,000円の契約を3年で解約する場合、残り2年分の720,000円が一括で請求される計算です。
レンタルは、サービスによって条件が異なりますが、途中解約が可能な契約が多くあります。ジムテックやコピー機レンタル.comのように「中途解約の違約金なし」を明記しているサービスもあれば、スリホのように途中解約金39,800円(税抜)が設定されているサービスもあります。いずれにしても、リースのように残額全額を請求されるケースと比べると、解約時の負担は格段に軽くなります。
審査の有無と導入スピード
リースは、リース会社による与信審査が必要です。審査には通常1〜2週間かかり、設立間もない企業や業績が不安定な企業は審査に通らないことがあります。
レンタルは、多くのサービスで審査が不要です。ジムテックは「審査不要で最短即日導入が可能」とFAQで明記しており、コピー機レンタル.comも「正式注文から最短中1日程度で納品」としています。スタートアップや創業期の企業にとって、審査なしで導入できる点は実務上の大きなメリットです。
コストで比較する──5年間のシミュレーション
リースの総コスト構造
リースの総コストは、以下の要素で構成されます。
- リース料:月額15,000〜40,000円程度(機種・スペックによる)。5〜7年の均等払い。
- カウンター保守料金:基本料3,000〜8,000円/月+モノクロ2〜5円/枚、カラー15〜30円/枚が相場。
- 消耗品費:カウンター保守にトナー代が含まれる契約と、含まれない契約がある。含まれない場合は別途購入。
たとえば、月額リース料25,000円、カウンター保守基本料5,000円、モノクロ3円/枚・カラー20円/枚の契約で、月間印刷枚数3,000枚(モノクロ2,400枚+カラー600枚)の場合:
月額コスト = 25,000 + 5,000 + (2,400 × 3) + (600 × 20) = 25,000 + 5,000 + 7,200 + 12,000 = 月49,200円
5年間の総コスト = 49,200 × 60 = 2,952,000円
レンタルの総コスト構造
レンタルの総コストは、料金モデルによって構成が異なります。
定額制の場合(消耗品・保守込み):
- 月額料金(トナー・保守込み)
- 初期費用(搬入・設置費。0円の場合も多い)
- 途中解約した場合の解約金
エコプリのライトプラン(月額10,780円・月3,000枚)を5年間利用した場合:
5年間の総コスト = 10,780 × 60 = 646,800円
カウンター保守型の場合:
レンコピの基本プラン(基本料5,000円+モノクロ5円/枚、カラー25円/枚)で月3,000枚(モノクロ2,400枚+カラー600枚)の場合:
月額保守コスト = 5,000 + (2,400 × 5) + (600 × 25) = 5,000 + 12,000 + 15,000 = 月32,000円
5年間の保守総コスト = 32,000 × 60 = 1,920,000円(+本体レンタル料+搬入費)
月3,000枚・月5,000枚・月10,000枚の3パターンで試算
以下は、5年間の総コストを印刷量別に概算したものです(税別、カラー比率20%で統一)。リースは一般的な相場、レンタルは代表的なサービスの公開料金を使用しています。
月3,000枚の場合(モノクロ2,400枚+カラー600枚)
- リース(月額リース25,000円+保守):約295万円
- 定額レンタル(エコプリ ライト 月10,780円):約65万円
- カウンター型レンタル(レンコピ保守のみ):約192万円+本体レンタル料
月5,000枚の場合(モノクロ4,000枚+カラー1,000枚)
- リース(月額リース25,000円+保守):約378万円
- 定額レンタル(エコプリ レギュラー 月18,480円):約111万円
- カウンター型レンタル(レンコピ保守のみ):約294万円+本体レンタル料
月10,000枚の場合(モノクロ8,000枚+カラー2,000枚)
- リース(月額リース30,000円+保守):約564万円
- 定額レンタル(エコプリ ハイボリューム 月22,000円):約132万円
- カウンター型レンタル(レンコピ上位保守のみ):約540万円+本体レンタル料
定額制レンタルのコスト優位性が際立ちますが、注意点があります。定額制には印刷上限が設定されているサービスが多く、上限を超えると追加費用やプラン変更が発生します。上記の試算は上限内で利用できた場合の数字です。契約時の注意点も合わせてご確認ください。
柔軟性で比較する
機種変更・スペックアップの対応
リースでは、契約期間中の機種変更は原則としてできません。事業の成長に伴ってA4からA3に変更したい、印刷速度の速い機種にアップグレードしたいという場合、現行リースの残債を清算したうえで新たなリース契約を組む必要があります。
レンタルでは、契約更新のタイミングで機種を変更できるサービスが多く、短期契約であれば比較的自由に乗り換えられます。スリホのような定額制サービスでもプラン変更に対応しており、事業の変化に合わせた機種選択が可能です。
台数の増減にかかる手間とコスト
拠点の増減や社員数の変化に伴い、プリンターの台数を調整したい場合があります。
リースは台数ごとに個別の契約を結ぶため、1台追加するにも審査から契約手続きが必要です。減らす場合はリース残額の清算が発生します。
レンタルは、追加台数分の契約を結ぶだけで増やせ、不要になれば解約して返却できます。違約金なしのサービスであれば、気軽に台数を調整できます。
拠点の移転・閉鎖時の対応
オフィスの移転や拠点閉鎖は、中小企業では珍しいことではありません。この場合のプリンター対応は、リースとレンタルで大きく異なります。
リースは、移転先への移設が可能ですが、移設費用は自己負担が一般的です。拠点閉鎖の場合はリース残額の清算が必要になり、事業再編のコストを押し上げます。
レンタルは、移転先で利用継続するか、解約して返却するかを選べます。搬出・搬入の手配が必要ですが、違約金なしのサービスであれば「旧拠点で解約→新拠点で新規契約」という切り替えも容易です。
保守・サポートで比較する
リースのメーカー保守とレンタルの保守の違い
リースの保守は、複合機メーカー(富士フイルムビジネスイノベーション、リコー、キヤノンなど)が直接提供するケースが主流です。メーカーのサービスエンジニアが訪問して修理を行うため、対応品質は安定しています。ただし、保守費用(カウンター料金)は別途契約が必要で、コストが上乗せされます。
レンタルの保守は、レンタル会社が自社で対応するか、メーカーに委託するかのいずれかです。定額サブスク型では電話サポート+郵送交換が中心、カウンター保守型ではメーカー保守を手配するのが一般的です。訪問保守の対応エリアが限定されていることが多い点は保守・サポート比較の記事で詳しく解説しています。
トナー・インクの調達方法
リースでは、トナーの調達はカウンター保守契約に含まれるケースと、自社で発注するケースがあります。カウンター保守に含まれる場合は、メーカーが定期的にトナーを補充または発送してくれます。
レンタル(定額制)では、多くのサービスがトナー・インクを月額料金に含めて提供しています。エコプリは「インクの注文は電話・メール・FAXで、当日14時までなら翌営業日に届く」と明示しており、プリント革命はマイページからオンラインで注文できます。
「トナーが切れて翌日届かない」という事態は業務に直結するため、注文から到着までのリードタイムを事前に確認しておくことが重要です。
故障時の対応スピード
リース+メーカー保守の場合、故障時はメーカーのコールセンターに連絡し、サービスエンジニアが訪問修理に来る流れです。一般的には翌営業日までの訪問が標準的な対応レベルです。
レンタルの場合、訪問修理が標準ではないサービスが多く、代替機の郵送交換で対応するのが主流です。スリホは「問い合わせ日から5営業日以内に無償で郵送交換」、プリント革命は「当日発送保証」を掲げています。
故障時の復旧スピードを重視する企業にとって、リース+メーカー保守の「翌営業日訪問修理」は安心材料です。一方、レンタルの代替機郵送も、在庫があれば数日で届くため、日常的な業務への影響は限定的です。どちらを重視するかは、印刷業務の緊急度によって判断してください。
どちらを選ぶべきか──判断フローチャート
リースが向いている企業の条件
以下の条件に当てはまる企業は、リースの方がフィットする可能性があります。
- 月間印刷量が1万枚を超え、今後も安定的にその水準が続く見込みがある
- 5年以上の長期利用が確定しており、途中解約の予定がない
- メーカーのサービスエンジニアによる訪問保守を重視する
- 大型の複合機(A3レーザー、高速印刷)が必要で、機種の選択肢を広く持ちたい
- 与信審査に問題がない企業規模・業績がある
レンタルが向いている企業の条件
以下の条件に当てはまる企業は、レンタルの方が合理的です。
- 月間印刷量が1万枚以下で、コストを抑えたい
- 事業規模の変動があり、契約を柔軟に見直したい
- 設立間もない企業やスタートアップで、審査なしで導入したい
- 初期投資を抑え、月額経費として予算管理したい
- トナーや保守の管理業務を外部に任せたい
- 短期間だけ利用したい、またはまず試してみたい
「リースからレンタルへの乗り換え」を考えるタイミング
現在リース契約を結んでいて、レンタルへの乗り換えを検討する場合、最適なタイミングはリース契約の満了時です。リース残額の清算を避けることで、乗り換えコストを最小化できます。
乗り換えを検討する際のチェックポイントは以下のとおりです。
- 現在のリース残存期間を確認する:残り1年以内であれば、満了を待ってからレンタルに切り替える
- 現在の月間コスト(リース料+カウンター)を計算する:コスト比較の記事の計算式を使って、レンタルとの年間総額を比較する
- 残存期間のリース料 vs 途中解約金+レンタル導入コストを比較する:途中解約してでも乗り換えた方が安い場合がある
- 無料トライアルを活用する:リース契約を維持したまま、レンタルのトライアルで品質を確認する
リースからレンタルへの乗り換えは、一度にすべてを切り替えるのではなく、「まず1台をレンタルに変えてみる」という段階的なアプローチが失敗リスクを下げます。総合ガイドで全体像を把握したうえで、計画的に進めてください。