中小企業のプリンターコスト削減術|レンタルで印刷費を見える化する方法
中小企業の印刷コストはなぜ「見えない」のか
購入プリンターの本当のコスト──インク・修理・ダウンタイム
多くの中小企業では、プリンターを「一度買ったら終わり」の備品として扱っています。しかし実際には、購入後に発生するランニングコストが本体価格を大きく上回ることは珍しくありません。
一般的なビジネス向けインクジェット複合機の場合、純正インクカートリッジ1セットの価格は5,000〜10,000円程度です。月に2,000枚印刷する企業であれば、インクだけで月5,000〜15,000円の出費が継続的に発生します。これに加えて、故障時の修理費(メーカー出張修理で1回1〜3万円)、印刷停止中の業務遅延(ダウンタイム)、古くなった機器の買い替え費用が積み重なります。
問題は、これらの費用が「消耗品費」「修理費」「固定資産」などバラバラの勘定科目に分散されるため、「プリンター関連で年間いくらかかっているか」を把握している企業が少ないということです。
リース契約で埋もれがちなカウンター料金
リース契約の場合はさらに分かりにくくなります。月々のリース料は固定ですが、別途かかるカウンター保守料金は印刷枚数に応じて変動します。経理担当者はリース料は把握していても、カウンター料金がいくらかかっているかを意識していないケースがあります。
また、リース契約は5〜7年の長期契約が一般的で、契約当初は適正だった条件が、事業規模の変化とともにミスマッチになることがあります。「社員が減ったのに同じ台数のリースを払い続けている」「印刷量が減ったのにカウンター保守の基本料が毎月かかっている」という状態は、中小企業では頻繁に発生しています。
「印刷は経費」で片付けてしまう慣習
印刷コストが見えなくなるもうひとつの原因は、組織の意識の問題です。人件費、家賃、通信費には敏感な経営者でも、印刷費については「大した金額ではない」「必要経費だから仕方がない」で済ませてしまうことがあります。
中小企業庁が公表している中小企業白書でも、中小企業の経営課題としてコスト管理の高度化が繰り返し指摘されています。印刷コストは「聖域」にしがちな経費の典型です。「見える化」の第一歩は、まず数字を計測することから始まります。
印刷コストを見える化する3つのステップ
ステップ1:1か月の印刷枚数を計測する
まずは現状の把握です。1か月間、社内のプリンター・複合機の印刷枚数を記録してください。
最近の業務用プリンターや複合機には、管理画面やカウンター機能が搭載されています。操作パネルやWebインターフェースから、累計印刷枚数(トータルカウンター)を確認できることが多いです。月初と月末のカウンター値を記録するだけで、月間印刷枚数が分かります。
もしカウンター機能がない場合は、用紙の消費量で概算する方法もあります。1か月で消費した用紙の束数(1束500枚)×片面/両面を計算すれば、おおよその枚数が出ます。
ステップ2:カラー比率と用途を把握する
次に確認すべきは、カラーとモノクロの比率です。カウンター機能があるプリンターでは、カラー/モノクロ別の枚数を確認できることが多いです。
カラー印刷はモノクロの5〜6倍のコストがかかるのが一般的です。「営業資料はカラーだが、社内文書はモノクロで十分」「見積書はモノクロでいい」など、用途別にカラーの必要性を見直すだけで、大幅なコスト削減につながる場合があります。
このステップでは完璧を目指す必要はありません。「おおむねカラーが3割、モノクロが7割」程度の粒度で十分です。
ステップ3:現状のコストを「1枚あたり」で計算する
印刷枚数が分かったら、現在の印刷にかかっている費用を「1枚あたりのコスト」に換算します。
計算式は以下のとおりです。
1枚あたりコスト =(月間のインク代 + リース料またはレンタル料 + 保守費)÷ 月間印刷枚数
たとえば、月にインク代10,000円、リース料15,000円、カウンター保守5,000円で合計30,000円を支払っており、月間印刷枚数が2,000枚であれば、1枚あたり15円です。
この数字を基準にすれば、レンタルプリンターに切り替えた場合のコストと客観的に比較できます。コスト比較の記事では、レンタルサービスの1枚あたりコストの試算例を印刷量別に掲載しています。
レンタルが中小企業にフィットする理由
初期投資ゼロで導入できる
レンタルプリンターの多くは、初期費用0円または低額(数万円以内)で導入できます。たとえばウルトラプリントは初期費用0円・月額5,000円〜、びっくりプリントも初期費用0円・契約金0円・搬入費用0円を明示しています。
中小企業にとって、設備投資は資金繰りに直結する判断です。複合機を購入すれば数十万〜百万円単位の出費が一度に発生しますが、レンタルであれば月額の経費として処理でき、資金の流出を平準化できます。
日本政策金融公庫の中小企業事業の調査でも、中小企業の設備投資は景気動向に大きく左右されることが示されています。景気が不透明な局面では、固定資産を増やすよりも月額経費で柔軟に調整できるレンタルが、財務的なリスクヘッジとして機能します。
月額固定で予算計画が立てやすい
定額制のレンタルプリンターでは、月々の支払額が確定しているため、年間予算の策定がシンプルになります。
購入プリンターの場合、「今月はインクを2セット買った」「修理代が3万円かかった」と月ごとの支出が予測できません。リースでもカウンター料金部分は変動します。一方、定額制レンタルであれば、月額×12か月がほぼ確定した年間印刷コストになります。
経営管理の観点から見ると、変動費を固定費に転換できるのは大きなメリットです。毎月の支出が読めることで、他の投資や経費とのバランスを取りやすくなります。
管理業務をアウトソースできる
レンタルプリンターを導入すると、以下の管理業務がサービス提供元に移管されます。
- トナー・インクの在庫管理と発注
- 故障時の修理手配
- 定期メンテナンスの実施
- 機器の入れ替え・リプレース
社員数10〜30人規模の中小企業では、総務や経理の担当者が兼任でこうした業務を行っていることが多いです。「トナーが切れた」「プリンターが動かない」という対応に追われる時間は、本来の業務に充てるべき時間です。管理業務をアウトソースすることで、限られたリソースをコア業務に集中できます。
社員10〜50人規模のプラン選びの考え方
印刷量の目安と推奨プラン帯
社員数と印刷量の目安、推奨されるプラン帯を整理します。あくまで一般的な目安であり、業種や業務内容によって大きく異なります。
- 社員10人以下(月500〜1,000枚):定額制の最安プラン帯(月額5,000〜8,000円)。ウルトラプリントのA4プランやエコプリのスーパーライトプランが候補。
- 社員10〜30人(月1,000〜3,000枚):定額制の中位プラン帯(月額8,000〜15,000円)。スリホの標準プラン、エコプリのライトプラン、プリント革命のライトプランが候補。
- 社員30〜50人(月3,000〜6,000枚):定額制の上位プラン帯(月額15,000〜25,000円)。エコプリのレギュラープラン、プリント革命のベーシックプラン、または複数台の分散配置も検討。
1台で足りるか、複数台に分散すべきか
社員数が20人を超えてくると、1台のプリンターに印刷が集中して「順番待ち」が発生し始めます。部署やフロアが分かれている場合はなおさらです。
複数台を導入する場合、レンタルであれば台数の増減が比較的容易です。「まず1台導入して、足りなければ2台目を追加する」という段階的な導入ができるのは、購入やリースにはないレンタルの利点です。
ただし、台数を増やせば月額料金も比例して増えます。「本当に2台必要か」を判断するには、ステップ1で計測した部署別・フロア別の印刷量データが役立ちます。
FAX・スキャンの必要性を見直す
複合機の月額料金は、プリント機能のみの機種に比べて高く設定されています。FAXやスキャン機能を使わないのに複合機を借りているとすれば、プリント機能のみの機種に変更するだけでコストを削減できます。
FAXについては、クラウドFAXサービス(eFaxなど)でメールからFAXを送受信する方法もあります。スキャンも、スマートフォンのスキャンアプリや専用のポータブルスキャナーで代替可能な場合が多いです。
「昔からの慣習でFAX付き複合機を使っている」という企業は少なくありませんが、本当にFAXが業務上必須かを見直すことが、コスト最適化の盲点になっていることがあります。
導入後にコストを継続的に管理する方法
管理画面で月次の印刷量を確認する
レンタルプリンターの多くは、印刷枚数や利用状況を確認できる管理画面やレポート機能を備えています。この機能を活用して、月次で印刷量をモニタリングする習慣をつけてください。
月ごとの推移を記録しておくと、「繁忙期に印刷量が増える」「特定の部署の利用が偏っている」といったパターンが見えてきます。このデータは、次の契約更新時にプランを見直す際の判断材料になります。
部署別の利用傾向を把握する
複数の部署でプリンターを共有している場合、部署ごとの利用量に偏りがあることが多いです。営業部がカラー印刷を大量に行い、経理部はモノクロで数百枚という具合です。
複合機の認証機能(IDカードやパスワード認証)が使える場合は、部署別や個人別の印刷量を計測できます。この機能がない場合でも、月に一度、各部署の担当者に「今月どれくらい印刷した体感がありますか」とヒアリングするだけで傾向は掴めます。
コスト意識を組織に根付かせるには、印刷コストを「見える化」して共有することが最も効果的です。「この部署のカラー印刷費は月○○円」という情報が共有されるだけで、不要な印刷が自然と減るケースがあります。
年1回の契約見直しで最適化する
レンタルプリンターの契約は、年1回は見直すことを推奨します。確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 印刷量の変化:事業の拡大・縮小、ペーパーレス化の進展によって印刷量は変化します。上位プランが不要になっていたり、逆に上限を超えそうになっていたりしないか確認してください。
- 利用機能の変化:導入時には必要だったFAXやスキャンを使わなくなっていないか。
- 市場の変化:新しいサービスやプランが登場している可能性があります。現在の契約条件が市場水準と比べて割高になっていないか、他社の最新情報もチェックしておきましょう。
- 契約更新のタイミング:自動更新の契約であれば、更新日の1〜2か月前が見直しの適切なタイミングです。
契約見直しの際は、コスト比較の記事で紹介している年間総額の計算式を使って、現在のサービスと他社の条件を比較すると客観的な判断ができます。