レンタルプリンター選び方ガイド|購入・リースとの違いから主要サービスの比較まで
レンタルプリンターとは何か
3つの導入方法──購入・リース・レンタル
オフィスにプリンターや複合機を導入する方法は、大きく「購入」「リース」「レンタル」の3つに分かれます。
購入は、機器を自社資産として所有する方法です。初期費用が高額になりますが、長期間使えばトータルコストは下がる可能性があります。ただし、故障した場合の修理費やトナーなどの消耗品は自社で手配・負担する必要があり、機種が古くなっても簡単には入れ替えられません。
リースは、リース会社から機器を借りる方法です。一般的に5〜7年の長期契約となり、月々の支払いは低く抑えられます。しかし、原則として途中解約ができず、契約期間中に機種変更することもできません。また、利用開始前に審査が必要なケースが大半です。
レンタルは、月単位や年単位で機器を借りる方法です。初期費用がほぼかからず、契約期間の柔軟性が高いのが特徴です。保守やメンテナンスが月額料金に含まれていることが多く、消耗品の手配も不要なサービスが増えています。
どの方法にも一長一短がありますが、本記事では「レンタル」に焦点を当て、その仕組み・費用・選び方を体系的に解説します。購入とリースの詳しい比較は、別記事で掘り下げます。
レンタルが注目されている背景
近年、レンタルプリンターの利用者が増えている理由は、コスト構造の透明性と柔軟性にあります。
従来のリース契約では、月額のリース料に加えて「カウンター保守料金」が別途かかり、しかもその単価や基本料金はリース会社ごとに異なるため、実際のトータルコストが分かりにくい構造でした。一方、レンタルでは「月額○○円でトナーも保守も込み」と明示するサービスが主流になりつつあり、月々の支出が読みやすくなっています。
また、テレワークやオフィス移転、事業の拡大・縮小など、働き方の変化にともなって「台数を柔軟に増減したい」「短い期間だけ使いたい」というニーズが強まっていることも追い風です。審査不要で、最短で即日〜数日で導入できるサービスも登場しており、事業の変化に合わせたスピーディーな対応が可能になっています。イベントや仮設事務所など短期間だけ必要なケースについては、短期レンタルの選び方で詳しく解説しています。
レンタルプリンターの仕組み
料金モデルの基本──定額制とカウンター制
レンタルプリンターの料金体系は、大きく2つに分かれます。
定額制(サブスク型)は、月額料金にトナーやインク、保守費用がすべて含まれるモデルです。「印刷し放題」を謳うサービスが多く、月々の支払いが一定で予算管理がしやすいのが利点です。ただし、多くのサービスでは月間の印刷枚数に上限が設定されており、超過した場合は追加費用が発生したり、自動的に上位プランへ変更されたりする仕組みがあります。完全に「無条件の使い放題」ではない点は把握しておく必要があります。
カウンター制(従量課金型)は、基本のレンタル料金に加えて、印刷した枚数に応じた「カウンター料金」が発生するモデルです。モノクロ1枚あたり1〜5円、カラー1枚あたり10〜30円程度が目安です。印刷量が少ない月は費用が下がりますが、大量に印刷すると月額が膨らむため、印刷量の変動が大きい場合は注意が必要です。
どちらのモデルが合うかは、自社の印刷量と印刷の変動幅によって変わります。各モデルの費用の詳しい比較は、コスト比較の記事で解説しています。
契約から導入・返却までの流れ
レンタルプリンターの導入は、一般的に以下のステップで進みます。
- 問い合わせ・見積もり:必要なスペックや台数、設置場所を伝え、見積もりを取得します。Web完結で申し込めるサービスもあれば、営業担当と打ち合わせるサービスもあります。
- 契約・申し込み:見積もり内容に合意したら契約手続きへ。サービスによっては無料トライアル(1〜2週間)を経てから本契約に進めるものもあります。
- 納品・設置:宅配で届いて自分で設置するタイプと、業者が搬入・設置・ネットワーク設定まで対応するタイプがあります。搬入設置費が別途かかるサービスもあるため、事前に確認が必要です。
- 運用・保守:利用中のトナー交換や故障対応は、サービス提供元が対応します。電話やメールでの遠隔サポート、郵送での機器交換、訪問修理など、対応方法はサービスによって異なります。
- 解約・返却:不要になったら解約手続きをします。返却方法(自社で梱包・発送する、業者が引き取る)や返却期限はサービスごとに定められています。
サービスによって導入スピードには差があり、申し込みから最短で翌日に届くケースもあれば、設置・設定まで含めて1〜2週間かかるケースもあります。スケジュールに余裕を持って動くのが無難です。
保守・メンテナンスの範囲
「保守が月額に含まれる」と書かれていても、その範囲はサービスによって大きく異なります。確認しておきたいのは以下のポイントです。
- トナー・インク:月額に含まれるか、別途購入か。含まれる場合でも、月間の提供本数に上限があるサービスもあります。
- 故障時の対応:電話サポートのみか、代替機の郵送があるか、訪問修理に来てくれるか。訪問保守は対応エリアが限定されていることが多く、エリア外では郵送交換になるのが一般的です。
- 消耗部品の交換:ドラムユニットや定着器などの消耗部品が対象に含まれるかどうか。
- 用紙代:ほぼすべてのサービスで用紙は含まれません。自社で用意する必要があります。
広告では「すべて込み」と強調されていても、約款や利用規約を確認すると条件が付いているケースは珍しくありません。契約前に規約を読み込むことは必須です。詳しくは契約時の注意点の記事でまとめています。各サービスの保守内容やサポート体制の違いは、保守・サポート比較の記事でも詳しく比較しています。
レンタルが向いている企業・向いていない企業
レンタルのメリットが活きる条件
レンタルプリンターは、次のような状況にある企業で特にメリットを発揮します。中小企業での具体的な活用法やコスト削減事例は、中小企業のプリンターコスト削減術の記事で詳しく紹介しています。
- 初期投資を抑えたい:創業間もない企業やスタートアップなど、設備投資にまとまった資金を充てにくい段階。月額数千円〜で高性能な複合機を導入できるのは大きな利点です。
- 事業規模が変動する:拠点の増減、社員数の変化、プロジェクトごとの印刷需要の波がある場合。台数の増減や機種変更がしやすいレンタルは、変化への対応力に優れます。
- 印刷コストを固定費として管理したい:月額にトナーや保守が含まれる定額制であれば、「今月の印刷費はいくらだったか」を正確に把握でき、予算管理がシンプルになります。
- 機器の管理に手間をかけたくない:トナーの発注、故障時の修理手配、機器のリプレース。これらの業務をすべてサービス提供元に任せられるのは、管理部門のリソースが限られている中小企業にとって実務上の大きな助けになります。
購入やリースの方が合うケース
一方、以下の条件に当てはまる場合は、レンタル以外の選択肢の方が合理的になる場合があります。
- 月間印刷量が非常に多い:目安として月1万枚を超える場合、カウンター制や定額制の上限を超えてコストが割高になる可能性があります。大量印刷が恒常的であればリースの方がトータルコストで有利になるケースがあります。
- 5年以上同じ機種を使い続ける見込みがある:機器の入れ替え予定がなく、長期利用が確定しているならば、購入して自社資産にする方がトータルでは安くなる傾向があります。
- 特殊な機能や構成が必要:業務用の大型プロダクションプリンターや特殊な後処理装置(フィニッシャーなど)が必要な場合、レンタルのラインナップではカバーしきれないことがあります。
最終的には「印刷量」「利用期間」「管理にかけられる手間」の3つを軸に判断するのが実用的です。
サービス選びで確認すべき5つの視点
レンタルプリンターのサービスは複数ありますが、比較する際には以下の5つの観点を軸に整理すると、自社に合ったサービスを見つけやすくなります。
1. 契約期間と解約条件
サービスによって最低契約期間はさまざまです。1か月単位で自動更新・違約金なしというサービスもあれば、初回契約期間が1年で途中解約時に残期間分の費用を請求されるサービスもあります。
「とりあえず試したい」のか「年単位で安定的に運用したい」のかで、選ぶべきサービスは変わります。また、無料トライアル期間の有無も判断材料になります。
2. 月額に含まれる範囲
「月額○○円」と表示されていても、その中に何が含まれているかはサービスごとに異なります。確認すべき主な項目は以下のとおりです。
- トナー・インク代
- 保守・メンテナンス費
- 故障時の修理・交換費用
- 搬入・設置費
- 撤去・返却時の送料
一見安く見えても、搬入費や撤去費が別途かかるケースがあります。「月額」だけでなく「導入から返却までの総額」で比較することが重要です。
3. 対応エリアとサポート体制
「全国対応」を掲げるサービスは多いですが、対応の中身には差があります。電話やメールでの遠隔サポートはどのサービスでも受けられる一方、訪問修理や設置作業は首都圏や主要都市に限定されているケースが一般的です。
地方に拠点がある企業は、故障時の対応方法(訪問なのか郵送交換なのか)を事前に確認し、業務に支障が出ないかを判断しておくことが大切です。
4. 印刷スペックと対応機能
プリンターとしての基本性能も確認しておきましょう。
- カラー対応かモノクロのみか
- 対応用紙サイズ(A4のみか、A3にも対応するか)
- 印刷速度(分速何枚か)
- 複合機能(コピー・FAX・スキャン)の有無
- Wi-Fi接続やクラウドプリント、スマートフォンからの印刷対応
日常的にA3資料を印刷する部署や、FAX機能が必要な業種では、対応機種のラインナップを事前にチェックしておく必要があります。
5. 導入実績と利用者の評判
サービスの公式サイトだけでなく、導入事例や口コミも参考にしましょう。確認したいのは「導入後に困ったこと」「サポートの対応スピード」「実際にかかった費用感」といった運用段階の情報です。
特に、故障時の対応スピードや消耗品の補充にかかる日数は、業務の中断に直結する重要な要素です。公式サイトの「最短○営業日で交換」という表記だけでなく、実際の利用者の声を確認しておくと判断の精度が上がります。
主要サービスの概要
サービス分類の考え方
日本国内のレンタルプリンターサービスは、提供形態によって大きく3つのタイプに分類できます。
- 定額サブスク型:月額固定でトナーや保守を含むパッケージ。インクジェットやレーザーの機器を宅配で受け取り、故障時は電話サポートと郵送交換で対応するのが基本形です。スリホ、プリント革命、エコプリ、ウルトラプリント、プリント放題、びっくりプリントなどがこのタイプに当たります。
- 現場設置・カウンター保守型:業者が搬入・設置・ネットワーク設定まで行い、利用枚数に応じたカウンター料金で運用するタイプ。大型の複合機を扱うケースが多く、レンコピやジムテック(短期レンタル)、コピー機レンタル.comなどが該当します。
- 物品レンタル型:Web注文で配送を受け取り、不要になったらコンビニや集荷で返却する手軽さが特徴のタイプ。Rentioが代表的で、個人利用にも対応しています。
企業の規模や印刷量、設置場所の条件によって適したタイプが異なるため、まずはどの形態が自社に合うかを大枠で判断してから、個別のサービスを比較するのが効率的です。
代表的なサービス一覧
ここでは各サービスの概要を簡潔に紹介します。料金や契約条件の詳しい比較はコスト比較の記事で、各サービスの契約上の注意点は契約時の注意点の記事でそれぞれ掘り下げています。
スリホ(C-mind)
法人限定の定額制レンタルプリンター。月額8,000円〜でインク・トナー・保守が含まれ、インクジェットだけでなくレーザープリンターにも対応。訪問保守は一都三県が中心で、その他の地域は郵送交換での対応が基本です。
プリント革命(シー・コネクト)
月額8,800円(税込)〜の定額制で、ビジネスインクジェットからレーザー複合機まで幅広い機種をラインナップ。1週間の無料トライアルがあり、消耗品の注文はマイページから行えます。
エコプリ(デジタル・コミュニケーションズ)
RICOH製プリンターと日本製インクを組み合わせた定額制。印刷枚数に応じて4プラン(月額7,260〜22,000円・税込)を用意。1週間のお試しレンタルが可能で、契約期間は原則1年です。
ウルトラプリント
月額5,000円〜で契約縛りなし。法人だけでなく個人やイベント利用にも対応し、離島を含む全国配送に対応。短期利用のハードルが低く、最短2か月から利用できます。
レンコピ(レンタルバスターズ)
法人向けの複合機レンタル。搬入・設置まで業者が対応し、カウンター保守料金にトナー代・メンテナンス費が含まれます。全国対応を掲げ、最短1日からのレンタルも可能です。
ジムテック(短期レンタル)
東京23区は即日対応可能な短期レンタル専門。搬入・設置・PC接続設定まですべてスタッフが対応。月額5,000円〜、1か月ごとの自動更新で中途解約の違約金なし。首都圏中心の対応エリアです。
コピー機レンタル.com(OAナイン)
全国対応で設置・保守・撤去まで一括対応。最短14日〜のレンタルで、解約金は原則無料。カウンター保守料金が明示されており、料金の透明性が比較的高いサービスです。
Rentio(レンティオ)
Web注文・コンビニ返却の手軽さが特徴。個人利用にも対応し、商品ごとに月額プランとワンタイムプランを選べます。法人向けの業務用プリンターも扱っていますが、設置サポートは基本的にありません。
導入前に社内で確認しておくこと
現在の印刷量を把握する
レンタルプリンターを選ぶうえで最も重要な判断材料は、自社の印刷量です。しかし、多くの企業では「月にどれくらい印刷しているか」を正確に把握できていません。
まずは1か月間、複合機の印刷カウンターの数値を記録してみてください。カラーとモノクロの内訳、部署ごとの利用量が分かると、適切なプランの選定精度が格段に上がります。
既存の複合機に管理画面がある場合はそこから確認できます。なければ、月初と月末にカウンター値を記録するだけでも十分です。この作業は手間に感じるかもしれませんが、印刷量を知らないまま契約すると、上限を超えて想定外の費用が発生するリスクがあります。
必要な機能を洗い出す
プリンター選びでは、「あったら便利」ではなく「なければ業務が止まる」機能を基準にするのが鉄則です。以下のチェックリストを使って、社内で必要な機能を整理してみてください。
- カラー印刷は必須か、モノクロのみで足りるか
- A3サイズの印刷が必要か
- コピー・FAX・スキャン機能は必要か
- Wi-Fi接続やスマートフォンからの印刷は必要か
- 両面印刷は日常的に使うか
- 印刷速度はどの程度が必要か(分速15枚と30枚では体感が大きく違います)
機能が多い機種ほど月額料金は上がるため、不要な機能を省くことでコストを最適化できます。
判断のステップ
最後に、レンタルプリンターの導入を検討する際の判断ステップを整理します。
- 印刷量を把握する:1か月の印刷枚数(カラー・モノクロ別)を計測する
- 必要な機能を決める:上記チェックリストで「必須」と「不要」を切り分ける
- 料金モデルを選ぶ:定額制とカウンター制、どちらが自社の印刷パターンに合うか判断する
- サービスタイプを絞る:定額サブスク型、現場設置型、物品レンタル型から自社の運用に合うタイプを選ぶ
- 2〜3社から見積もりを取る:Web上の表示価格だけで決めず、自社の条件で見積もりを取って比較する
- 無料トライアルを活用する:可能であればトライアルで実機を確認し、印刷品質やサポートの反応速度を体感する
プリンターは「とりあえず安いもの」で選びがちですが、印刷は日常業務の一部です。月額だけでなく、トータルの運用コストとサポートの質を含めて判断することで、導入後の「こんなはずでは」を防ぐことができます。